どえらい人と出会っちゃった

前々回めそめそびくびくのお話をさせていただきましたが、それと近い性質「不安で不安でしょうがない」という性質も若い頃の私は持ち合わせていました。これは、エニアグラムでいうところのタイプ6の性質らしいです。私は本来タイプ7らしいのですが、ウイングが6だと言われました。エニアグラムについて私はそんなに詳しくないのですが、もともと生まれもった個人の特性を9つのタイプに分ける性格分類学というものらしいです。興味のある方はネットで詳しく紹介されている方がたくさんいらっしゃるので調べてみると楽しいかもしれません。

で、その不安不安の私の世界を一瞬にしてひっくり返した人物との出会いがもう何年も前にあったのです。

それは大学時代にバイトしていたカフェで社員さんとして働いていたMさんでした。Mさんはとても腰が低くてやさしくてちょっとのお付き合いでは、単なる人のいいお兄さんとしか思えない好青年でした。

しかし「この人はまあまあの天然なのかな?」と思うことはよくあり、厨房作業で底に残ったトマト缶のトマトをスプーンで掻き出すかわりにトマト缶をひねりつぶして絞り出していたり、コンロ横に置いていたダスターに火が燃え移ってしまった時に水をかけて消火するではなく、むんずとつかんでお客様のいるホールの方へ投げちゃったり、、などなど武勇伝を数々残していたんです。

そんなある時、カフェの慰安旅行を開催していただくことになり、バイトの私ももれなくGO TO TRAVELさせてもらいました。その旅行準備で私は例によって「あれは入れたか、これは入れたか、着替えはこれで足りるだろうか。財布は持ったな、急に生理になったらどうしよう…etc」などなど家を出るぎりぎりまであれこれ心配して、えーいとばかりに家を出る、という感じでやっと家を出たのですが。

みんなが集まっていたところに例のMさんがいつものようにやわらかい笑みを浮かべてやって来ました。

が、その手元を見て私は愕然とするのです。

だって、ボロボロのそごう(今の阪急百貨店ですね)の紙袋ひとつをぶらんぶらんして歩いてきたから!

そしてその中身はパンツ1枚とお財布だけだったから!

旅行=何か忘れ物があったら大変なイベント
だった私はその瞬間、パンパンにはっていた風船から空気が抜けたような精神状態になったのを憶えています。

「もしかして人生ってもっと気楽なもんなんじゃないのかな?」と心の中の誰かが大きな声で言いました。そしてその時私の身体をとりまいていた不安不安のカバーがべろんとひっくり返ってボブ・マーリーの「ONE LOVE」が流れました。

Let’s get together and feel all right.

だからみんなも大丈夫!
不安になったらボロボロのそごうの袋を思い出して!