なくなることへの不安がなくなる話

私は人一倍なくなることへの不安が強い人間だなと自分で思います。

なんでもそうなんですけど

毎日使用するもので言えば日用品や調味料などは新しいのをひとつ開ける前には必ず新品をひとつ買い足すし
すごく気に入った何かを手に入れたら予備でもうひとつ買っておこうかなーと考えてしまいます。

そんな時に知ったのが、
お金持ちのユダヤ人はみんなが小さい頃から読み聞かされて育つという、
タルムードという哲学の金言集でした。

その中の「魔法のザクロ」という話
とっても心にささりました。

簡単にお話すると、
ある3人の兄弟がそれぞれ修行に出て、行った先で手に入れた不思議なものを帰ってきて見せ合うという約束をしたのですが、長男が持って帰ってきた世界の隅々まで見渡せるコップを覗くと、ある国のお姫様が病気になっているのが見えたので次男が持って帰ってきた空飛ぶ絨毯に乗ってお姫様の元へ行き、三男が持って帰ってきた不思議なザクロの実を半分お姫様に食べさせると、お姫様の病気が治りました。
そこで王様はその3人の兄弟の誰かとお姫様を結婚させてやろうと言うのですが、お姫様は3人にこんな質問をしました。
「不思議なコップは今も世界が見えますか?」
「不思議な絨毯は今も空が飛べますか?」
「不思議なザクロは今もありますか?」
長男と次男は「そのまま変わりありません」と答えるのですが、三男だけは
「今はお姫様に半分差し上げたので半分になっています」
と答え、お姫様は大切な物を半分失ってまで自分を助けてくれた三男と結婚することに決めたのでした。

という訳で
このお話の教訓は
「ノーペイン、ノーゲイン(失わずして得るものなし)」
なんですが、

私はそれよりも
過去に見てきた、
「ちょっとしかなくて、人にあげてしまったらなくなっちゃうものを分けてあげる人たち」
を思い出して、心がきゅんとしたんですよね。

震災のとき、当時お付き合いしてた彼は
命からがら倒壊しそうなアパートを
着の身着のままで飛び出して避難場所へいったら、同じように着の身着のままで飛び出して避難してきた人がほとんど肌着の状態だったらしく、彼は自分がパジャマの下に着ていたレギンスをその場で脱いでその人にあげたそうで…
とっても寒い日だったのに。

究極の状態とはいえ、
見ず知らずの人間が着ているものをその場で
脱いで、あげるとか言われても気持ち悪がられないかなあとか、
そんなことを考える前に行動に出てしまうような純粋な人でした。

そして手前味噌のようですが
私の娘もそうなんです。
おこずかいもあげてなくて
自分の持ち物と言えば、
誰かにもらったちょっとした文房具やメモやシールぐらいだったちいちゃい頃
何かあれば、その大事な大事な少ししかない
メモ帳にお手紙を書いてシールを貼って私に
渡してくれました。

そんな、与えることや無くなることを恐れない人たちはたぶんもっと大きな大事なものを得ることができる人たちなんだろうなと思うのです。

大事なものを抱え込むように生きている私はほんとちぃせーなーと思います。お恥ずかしい…反省するばかりです。